演奏
稽古も残り3日になってしまった。
相変わらず小返し( シーンの細かい稽古)をして、そして通し。
それにしても今日の通しは良かった。
昨日と全く別の芝居をみているようだった。
あっくん(阿久澤菜々)の演技が昨日までと違ったんだよね。彼女が変わると全体が変化する。
あれが常に出るようになればいい。
あっくんの変化で(高橋)明日香も変わるし、そうすると間に立つまるちゃん(石丸奈菜美)も浮き出て見えてくる。
はっきりとキャラクターが際立ち、会話が生きるのだ。
そういう意味ではここからが勝負だ。
前にも書いたが、私は芝居には譜面があると思っている。
まず、役者はその譜面を読み、音階通りにできなければいけない。
で、それができるようになると……ここからが面白いのだ。
同じ曲だって指揮者によって解釈が変わる。
そして演奏だって違う。
演出家は指揮者であり、タクトを振る。
だから、まず、普通に演奏できるようになってからが、オリジナリティーの出番だ。
今回の登場人物は5人。
メインが歪の女性三人。
そして私と尾方。
私と尾方はいいスパイスにならないといけない。
オーケストラでいえば……いや、楽器は詳しくないのでやめておこう。
尾方はやっぱりいい。
彼の存在が芝居を引き立てる。
問題は……私だ。
……自分の台詞が危ないね。
これではダメだ。自分にも厳しくやっていこう。
しかも、今日、ちょっと台詞を足してしまった。
さらに危ない。
ということで、さらに自分に厳しくやっていこう。
……女性三人は本当に伸びてきた。
時々、「うまいなあ」と思ったりする。
演出をやっていて「おお、それそれ」と思うトーンが出たりする。
それにしても……明日香も演技に貫禄が出た。
少し邪魔になる演技の癖は残っているけど、トーンの選び方、高低差、呼吸の箇所の判断などは本当に《わかっている役者》のそれになってきた。お、できるね、という感じだ。
まあ、元々、そういう能力はあると判断したから、一緒にやってきたわけだし、その意味では当然のことなのかもしれないけど、もしかしたら本当に今回化けるかも知れない。
今日、前半を見ていて、「上手になったなあ」と、ちょっとばかりうるっときたりした。
残りの稽古も全力でやらないとね。
創作日誌になってないな。
とにかくいい演奏をしないと。