高橋明日香について
役者の演技から歪のメンバーを紹介するというシリーズ、いや、そんなことは決まってないし、三人しかいないのでシリーズ化は無理なのだが、その第二回だ。前回は阿久澤菜々について書いたので、今日は高橋明日香だ。
彼女とは随分と付き合いも長くなったし、舞台も数多く一緒にやっているので性格なども理解しているつもりだ。最初の頃は、ティラノザウルスに似ているので「ティラ」というあだ名をつけさせてもらった。われながらいいネーミングだ。まあ、実際には私はそうは呼んでないけど。
理解できていると思ってしまっている分、逆に演技をさらにステップアップしてもらう方法については悩むこともある。
明日香(今はこう呼んでいる)はとても真面目だし、モチベーションも高いし、芝居の理解も問題ないと思う。小さい頃からダンスをやっていて身体もよく動く。演技の流れも自然だ。一般的な知識が不足している気はするけど、それも彼女自身、努力中だ。
残る課題はリアリティーだと思っている。
リアルとリアリティーは違う。
まあ、違う角度から書けば「演技の迫力」とでもいえばいいのか?
これは技術の問題ではない。
パッと見の印象と彼女の内面にはややギャップがある。
性格も明るく、空気を読まない発言で周りを笑わせる彼女だが、自分自身の中にあるものをそのまま表に出すことがとても下手な気がする。それがきっとリアリティーを阻害しているんだと睨んでいる。
そこをどう一致させるか、そこが演出する上で最も難しいところだね。
私はその原因はコンプレックスにあるのではないかと思っているが、これを変えることはとても難しいのだ。私もああだ、こうだと言い過ぎて、反対に閉ざしてしまったりして……反省したりもした。
しかし、彼女もすでに自分でわかっているのだと思う。どうすればいいのかすら、自分自身で理解している。
だから、今回は、ただ待とうと決めた。
自分でそこは闘ってもらい、もし、それについてどうしようとなった時だけ、アドバイスしよう。
だから、あっくん(阿久澤)と違って、なるべく具体的な細かいことだけを言っていく。
あとは信頼して待つ。
いい結果が出るはずだと信じてるけどね。